report004.typ (9220B)
1 #set text(lang: "ja", font: "Noto Sans CJK JP", size: 10.5pt) 2 #set par(leading: 1.5em) 3 #set heading(numbering: "1.") 4 #show heading: set block(below: 1em) 5 #set math.equation(numbering: "(1)") 6 7 #show figure.where( 8 kind: table 9 ): set figure.caption(position: top) 10 11 #import "@preview/muchpdf:0.1.0": muchpdf 12 13 #show regex("[\p{scx:Han}\p{scx:Hira}\p{scx:Kana}]"): set text(font: "Noto Sans CJK JP") 14 15 #muchpdf(read("./titlepage.pdf", encoding: none),width: 20cm) 16 17 #counter(page).update(0) 18 #set page(numbering: "- 1 -") 19 20 #let phisics_experiment_table(header, cells) = ( 21 table( 22 columns: header.len(), 23 table.hline(), 24 table.header(..header.flatten()), 25 table.hline(), 26 ..cells, 27 table.hline(), 28 ) 29 ) 30 31 = 実験目的 32 NPN型トランジスタの静特性を測定すること. 33 34 = 実験原理 35 NPN型トランジスターの構造は以下に示す図1のようになっている.左からEがエミッター,Bがベース,Cがコレクターと呼ばれる.NPNトランジスターは以下のような仕組みで増幅作用を得る. 36 まず,それぞれの要素の電位がC>B>Eとなるようにする.すると,C>Bの電位であるので,BからCへの電流は流れることができない.Cからの電流はN型半導体からP型半導体への電流であって,整流ダイオードの逆方向の電流になるので,微小電流しか流れない. 37 ところが,BからEへの伝習はP型半導体からN型半導体への電流であって,整流ダイオードの順方向の電流になるので,わずかな電位差で電流が流れる. 38 しかも,この電流を流すエミッターの中の電子は,更に電位の高いコレクターに電場によって引かれ,大部分がコレクターに注入される. 39 BE間の電位差を小さくすると,BE間の電流が小さくなり,コレクターに注入される電子も少なくなる. 40 以上から,BE間の僅かな電圧の変化でコレクター電流を大幅に変化させることができる. 41 42 = 実験方法 43 実験装置:ブレッドボード電源・直流電源・可変抵抗器・電流計・電圧計・テスター・ブレッドボード・トランジスタ・抵抗気・導線 44 45 == 実験回路の作成 46 図2に示すような実験回路を組み立てた. 47 #figure( 48 kind: image, 49 caption: [実験回路図], 50 image("./circuit.png"), 51 ) 52 V_1はブレッドボード電源,V_2は直流電源とした. 53 また,電流計はI_Bが300μAレンジ,I_Cは10mAのものを使用した. 54 電圧計はV_BEが1Vレンジ,V_CEが10Vレンジのものを用いた. 55 抵抗器は 1 = 10 kΩ, 2 = 100 Ωとした. 56 57 == $I_C - V_(C E)$特性の測定 58 1. ブレッドボード電源を入れベース電流$I_B$が0.02mAとなるように可変抵抗を調節し,この時の$I_B$を記録した. 59 2. コレクター電流側の直流電源を入れ,コレクター電流側の直流電源電圧を調整して$V_(C E)$を設定した. 60 3. $V_(C E)$変化させながら,$I_C$を測定し,記録した.$I_C$の変化が急激となる低い電圧(0.2Vから2V)の領域では$V_(C E)$は0.2V間隔で,2Vから5Vは0.5V間隔で,5V以上は1V間隔で,この測定を$V_(C E) = 6 "V"$まで行った. 61 4. 上記と並行して$V_(C E) = 3 "V"$のときの$I_C$を測定し,記録した. 62 5. もし,3~4の手順の際に$I_B$が変化すれば,元の値になるように可変抵抗を調節した. 63 6. 3~5の手順を$I_B = 0.05, 0.1 "mA"$でも行う.それにともない,$I_C$が大きくなるので,電流計のレンジを適切に切り替えた. 64 65 == $I_B - V_(B E)$特性の測定 66 1. 可変抵抗を調節して$I_B$を充分小さくした.次に$V_(C E) = 3 "V"$となるようにコレクター側の電源電圧を調整した. 67 2. $I_B = 0.01"mA"$となるように可変抵抗を再び調整し,そのときの$V_(B E)$を測定し,記録した. 68 3. 2の測定を$I_B = 0.02, 0.05, 0.07, 0.1, 0.15, 0.2 "mA"$でも行った.この際に,$V_(C E)$に変動があれば,元の値になるようにコレクター電流側の電源電圧を調整した. 69 70 = 結果 71 == 測定結果 72 $I_C - V_(C E)$特性の測定結果を以下の表1から3に示す.また,この3つの表をまとめて一つのグラフにしたものを図2に示す. 73 #let Base = ( "0.02", "0.05", "0.1") 74 #for base in Base { 75 figure( 76 kind: table, 77 caption: [$I_B = base "mA"$のときの$I_C - V_(C E)$特性], 78 table( 79 columns: (1fr, 1fr, 1fr), 80 align: center, 81 [測定番号], 82 [$V_(C E)$ (V)], 83 [$I_(C E)$ (mA)], 84 85 ..csv("./base"+base+".csv").map(row => ( 86 row.at(0), 87 row.at(1), 88 row.at(2), 89 )).flatten(), 90 ) 91 ) 92 } 93 94 #figure( 95 kind: image, 96 caption: [$I_C - V_(C E)$特性の測定結果のグラフ], 97 image("fig1.jpg") 98 ) 99 次に,$V_(C E) = 3 "V"$のときの$I_B - V_(B E)$特性の測定結果を以下の表4に示す.また,この表を片対数グラフしたものを図3に示す. 100 #figure( 101 caption: [$V_(C E) = 3 "V"$のときの$I_B - V_(B E)$特性], 102 kind: table, 103 table( 104 columns: (1fr, 1fr, 1fr), 105 align: center, 106 107 [測定番号], 108 [$I_(B)$ (mA)], 109 [$V_(B E)$ (V)], 110 111 ..csv("./corect.csv").map(row => ( 112 row.at(0), 113 row.at(1), 114 row.at(2), 115 )).flatten(), 116 ) 117 ) 118 #figure( 119 kind: image, 120 caption: [$V_(C E) = 3 "V"$のときの$I_B - V_(B E)$特性の測定結果のグラフ], 121 image("fig2.jpg") 122 ) 123 == 解析 124 グラフから,測定結果が安定していそうな$I_B = 5 "V"$について,エミッタ接地の直中電流増幅率$h_(F E) := I_C/I_B$を計算する. 125 以下に,計算に用いた$I_B$と$I_C$と求めた$h_(F E)$をまとめた表5を示す. 126 #figure( 127 kind: table, 128 caption: [$V_(C E) = 5 "V"$のときの$h_(F E)$], 129 130 table( 131 columns: (auto, 1fr, 1fr, 1fr), 132 133 ..(( 134 ([$I_B$(mA)], [0.020], [0.050], [0.100]), 135 ([$I_(C)$ (mA)], [4.75], [9.10], [14.50]), // 修正済み 136 ([$h_(F E)$], [237.5], [190.0], [145.0]), // 修正済み 137 )).flatten(), 138 ), 139 ) 140 次に,$I_B - V_(B E)$特性の片対数グラフの直線の傾きを算出する. 141 片対数グラフの直線の傾き$a$は直線上の2点$(V_1,I_1),(V_2,I_2)]$を使って 142 $ a = (ln(I_2) - ln(I_1))/(V_2 - V_1) $ 143 であるので,引いた近似直線上にある2点[(0.750,0.020),(1.100,0.100)]を用いて 144 $ a = (ln(0.100) - ln(0.020))/(1.1 - 0.75) = 4.5983940355... $ 145 $ diff/(diff I_1) = 1/(V_2 - V_1) (0 - 1/I_1) $ 146 $ diff/(diff I_2) = 1/(V_2 - V_1) (1/I_2 - 0) $ 147 $ diff/(diff V_1) = (ln(I_2) - ln(I_1))(1/(V_2 - V_1)^2) $ 148 $ diff/(diff V_2) = (ln(I_2) - ln(I_1))(-1/(V_2 - V_1)^2) $ 149 また,それぞれの器械的誤差は 150 $ sigma_I_1 = sigma_I_2 = 0.00025 $ 151 $ sigma_V_1 = sigma_V_2 = 0.025 $ 152 $ sigma_a = sqrt((diff/(diff I_1))^2 sigma_I_1^2 + (diff/(diff I_2))^2 sigma_I_2^2 + (diff/(diff V_1))^2 sigma_V_1^2 + (diff/(diff V_2))^2 sigma_V_2^2) $ 153 $ = sqrt((1/(V_2 - V_1) (0 - 1/I_1))^2 0.00025^2 + (1/(V_2 - V_1) (1/I_2 - 0))^2 0.00025^2 + ((ln(I_2) - ln(I_1))(1/(V_2 - V_1)^2))^2 0.025^2 + ((ln(I_2) - ln(I_1))(-1/(V_2 - V_1)^2))^2 0.025^2) = 0.4653... $ 154 したがって,$a = 4.5 plus.minus 0.5$ 155 156 = 考察 157 実験より,表1から4に示した結果を得た. 158 また,$I_B - V_(B E)$特性の片対数グラフの傾きは$4.5 plus.minus 0.5$であった. 159 ここで,$I_B - V_(B E)$特性の傾きの理論値は 160 $ I_B = I_0 exp((e V_(B E))/(k_B T)) $ 161 から 162 $ e/(k_B T) $であることがわかる.これは 163 $ e/(k_B T) = 6.71616413... times 10^(20) $ 164 なので,求めた傾きは理論値よりも少し大きな値であることが分かる. 165 $I_C - V_(C E)$特性グラフは非常に歪な形をしており,測定に於いて何らかの重大な問題があったことが考えられる. 166 まず,トランジスタの温度が長時間の電流によって上がり,特性が変わった可能性が考えられる. 167 しかし,$I_B = 0.1 "mA"$の測定を行う際には電圧の高い測定点から測定を開始したのに対し,$I_B = 0.05 "mA"$の測定ではその逆向きに測定しているにもかかわらず,$V_(C E)$電圧が1から2V程度の点で電流が大きくなる傾向が一致している. 168 また,温度が上昇すれば素子内の抵抗が大きくなるはずであるので,この可能性は否定される. 169 次に,素子内でコレクター電流がベース電流に僅かに短絡していた場合を考える. 170 $V_(C E)$電圧が低い領域では短絡によって流れる電流がベース電流の役割を果たしており,$I_C$は$V_(C E)$に比例する形で増加すると考えられる. 171 また,$V_(C E)$電圧が高い領域では短絡からの電流は小さくまたI_Bを阻害する向きにも働き,より小さい$I_C$が得られたことの説明がつくと考えられる. 172 = 参考文献 173 [1] 吉田卯三郎 他著 (三省堂) P.260